シミ対策
公開日:2022.12.26
更新日:2023.08.09
顔にできるシミとは?シミの種類や原因・セルフケアのコツ
年齢を重ねるごとに、悩みの種になることが多くなるシミ。シミは大きさにかかわらず、一つあるだけで気になってしまいますよね。実はシミにはいくつか種類があり、原因もさまざま。今回はシミができるメカニズムや、自宅でできるセルフケアを詳しくご紹介します。シミが気になる方、クリアな肌を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
顔にできるシミとは?
そもそも顔にできるシミとは、どういったものなのでしょうか。シミに立ち向かうには、シミの正体を知ることが大切です。シミがどのようにできるのか、まずはシミの基礎知識を押さえておきましょう。
シミはメラニン色素によるもの
シミとはメラニンという色素が肌内部に部分的に蓄積したもので、薄茶色や褐色など、地肌よりも濃い色をしているのが特徴です。
シミができるメカニズム
シミのもとになるメラニンは、肌の中にあるメラノサイト(色素細胞)でつくられます。メラニンに対して「美肌の敵」のようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、太陽光から皮膚の細胞を守る役割も担っています。
メラノサイトがなんらかの原因によって活性化すると、メラニンが過剰に生成されます。通常であればメラニンは肌のターンオーバー(新陳代謝)によって肌表面に押し出され、自然に排出されていきます。
しかし、ターンオーバーの遅れによってメラニン生成と排出のバランスが崩れると、肌内部にメラニンが蓄積し、シミとなって現れてしまうのです。
シミができる原因
先述したように、シミは主に「メラニンの過剰生成」と「ターンオーバーの遅れ」によって現れます。ここからは、シミができる主な原因をご紹介します。
年齢によるターンオーバーの遅れ
ターンオーバーとは、新しい細胞が生まれて古い細胞が剥がれ落ちる「肌の新陳代謝」のこと。肌の奥にある母細胞では、日々新しい細胞がつくられています。細胞は徐々に表面に押し上げられ、やがて垢となって排出されます。
ターンオーバーの正常なサイクルは約30日*ですが、年齢を重ねるとターンオーバーに要する日数が長くなり、45日ほどかかるようになります。そのため、メラニンの生成と排出のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
*顔での推測値
太陽光によるダメージ
太陽光を浴びると、肌は細胞を守るための防御反応により、メラニンを過剰に生成します。長期間にわたり繰り返し太陽光を浴びていると、部分的にメラニンが過剰生成されやすくなります。
肌への摩擦や強い刺激
肌をこする洗顔や、強く圧をかけるようなクレンジングを続けていると、肌の炎症を引き起こしてしまいます。炎症によってメラノサイトが活性化し、メラニンの過剰生成につながります。
主なシミの種類と特徴
一口にシミといっても実はさまざまな種類があります。シミごとの特徴や原因、注意点を押さえておきましょう。
老人性色素斑(日光黒子)
境界線がはっきりとしていて、大きさにばらつきがある茶色や黒っぽい色のシミです。太陽光をくり返し浴びたダメージによってできるもので、太陽光があたりやすい顔や手の甲、前腕などに生じる傾向があります。40代前後で現れやすく、年齢とともに増えることがあるので、早めの対策がおすすめです。
炎症性色素沈着
傷やニキビなどによる肌の炎症が治まった後にできるシミです。紫がかった茶色で、炎症が起きた場所に痕として残るため、大きさや形はさまざまです。炎症が再発しなければ、半年から1年ほどで自然に消えていきます。しかし強くこすったり太陽光が当たったりすると、消えにくくなってしまいます。
肝斑
30代後半頃から生じやすい、女性に多く見られるシミです。うっすら、ぼんやりとしていて、大きさや形はさまざま。顔の広い範囲にできるものですが、特に頬・額・上唇などに左右対称に現れるのが特徴です。
肝斑の主な原因は太陽光ですが、女性ホルモンのバランスの乱れも大きく影響しています。妊娠時など、ホルモンバランスが変化したタイミングで生じることもあります。
雀卵斑(そばかす)
一般的に「そばかす」と呼ばれる、2~3ミリの小さな茶色いシミです。薄い茶色~少し濃い褐色で、鼻や頬の周りにできやすいのが特徴です。雀卵斑は遺伝的な影響が大きいと言われ、5~6歳ごろに現れることが多いです。思春期にもっとも濃くなり、その後はだんだん薄くなっていきますが、太陽光の影響で濃くなることもあります。
シミへの対処方法
シミへの対処方法は、メラニンを過剰につくらせないこと、蓄積させないことがポイントです。できてしまったシミをセルフケアだけで完全になくすことは難しいですが、正しいケアで増やさない・濃くしないことは可能です。適切なケアを行い、シミの目立たない肌を育みましょう。
ターンオーバーをスムーズにする
先述したように、ターンオーバーのサイクルは加齢とともに長くなっていくため、メラニンが排出されにくくなります。古い角質をためこんでターンオーバーを妨げないように、1日2回の洗顔を心がけましょう。洗顔料はよく泡立てて、やさしく洗うのがコツです。ごしごしこすって摩擦や刺激を与えないよう注意してくださいね。
保湿してうるおった肌を保つ
乾燥により肌のバリア機能が低下すると、太陽光や摩擦によるダメージを受けやすく、シミができやすい状態になってしまいます。化粧水や乳液、クリームなどを使い、基本のスキンケアを日々しっかりと行いましょう。ここでも、肌をこすらないようにやさしく丁寧になじませることが重要です。
日やけ対策をしっかりと行う
季節によって照射量は変動しますが、太陽光は1年中降り注いでいます。また薄曇り程度のお天気でも、UV-Bの80~90%は透過すると言われています。日やけ止めクリームや日やけ止め下地を使って、太陽光から肌を守りましょう。春夏は、日傘や帽子などを着用するのも効果的な対策です。
肌が乾燥していたり日やけ止めの使用量が少なかったりすると、ムラになり本来の効果が発揮されにくくなります。しっかり保湿してから、適切な量を使うこともポイントです。また汗などで流れ落ちてしまうこともあるので、こまめに塗り直しすると安心でしょう。
美白化粧品でメラニンにアプローチする
一般的な美白化粧品には、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ効果があります。このほか、ターンオーバーを促進しメラニンの排出を促すことで、シミ・そばかすを防ぐ効果が認められた美白化粧品もあります。
中でも、エナジーシグナルAMP(アデノシン一リン酸ニナトリウムOT)は、2004年、美白分野で初めて「メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ」効果があるとして認められた美白有効成分です。
新しい細胞を生み出す母細胞のエネルギー代謝を高めて、年齢とともに長くなるターンオーバーを促進し、シミを防ぐ働きがあります。
睡眠や食事など生活習慣の見直し
ターンオーバーが乱れにくい健やかな肌を保つためには、生活習慣の見直しも重要です。十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
食事では、アスタキサンチン、ビタミンC、ビタミンEを多く含む食品を積極的にとるとよいとされています。また、飲酒や喫煙はメラノサイトを活性化させる「活性酸素」を増やすため、なるべく控えめにしたいですね。
まとめ
シミにはさまざまな種類がありますが、セルフケアで共通して大切なのは「日やけ対策」「保湿」「ターンオーバーの促進」の3つです。同時に、美白化粧品を取り入れたり生活習慣を見直したりして、シミ対策をコツコツ継続しましょう。
大津スキンケア研究所 所長
1992年大塚製薬入社
健粧品の基礎試験、有効性評価を担当し、2011年から大津スキンケア研究所所長。