スキンケア
公開日:2022.06.03
更新日:2024.05.21
ターンオーバーの乱れの原因と正常化のための有効成分とは?
肌のターンオーバーは大切というフレーズをよく目にしますよね。例えば、「ターンオーバーが遅いと肌トラブルが起きてしまう」と書かれた本や雑誌を読んだことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、どうして大切なのか、何が重要なのかは意外と知らないものです。今回はターンオーバーとスキンケアの関係について学びましょう。
ターンオーバーとはどういうしくみ?
美しい肌を作るためにはターンオーバーは欠かせない存在です。では、肌のターンオーバーとは、どのようなことを指しているのでしょうか。ここではターンオーバーとは何か、肌のしくみを見ていきましょう。
ターンオーバーによる肌の生まれ変わり
ターンオーバーとは、肌の細胞が生まれ変わるサイクルのことをいいます。
肌は外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層でできています。
ターンオーバーは表皮の奥にある母細胞から生まれた細胞が、少しずつ成長しながら上へ上がり、最後は垢となって剥がれ落ちるまでのサイクルです。
そのターンオーバーは繰り返され続けていて、常に新しい細胞と入れ替わっていきます。健康な肌であればターンオーバーは約30日※といわれていますが、ターンオーバーが上手くいかない場合には古い角質が肌表面にとどまり、シミ、くすみ、乾燥、肌荒れなどの原因となります。
※顔での推測値
肌のターンオーバーは「整っている」ことが大切
ターンオーバーがうまくいかないと増えてしまう肌トラブル。健康な肌であるためにはターンオーバーが適正であることが重要ですが、気をつけなければならないこともあります。ケアの仕方を間違ってしまうと逆効果にもなってしまうからです。では、ターンオーバーを整えるのに注意するべきことを見ていきましょう。
遅くなってしまったターンオーバーは促してあげる
ターンオーバーは加齢とともに遅くなっていきます。歳を重ねると新しい細胞を生み出す母細胞の力が弱まり、古い細胞が残り続けるからです。ストレスや睡眠不足もターンオーバーにも悪影響があります。ストレスや睡眠不足は成長ホルモンの分泌を乱し、肌のバリア機能を低下させてしまいます。
ターンオーバーの遅れはさまざまなトラブルとして現れます。
・シミの原因
・角質が厚くなりくすみに
・乾燥による小じわ
・毛穴の目立ち
・キメが粗くなる
・バリア機能低下による乾燥や肌荒れ
ターンオーバーを促してあげるには、肌にうるおいを与えて保湿し、太陽光から守るスキンケアを心がけましょう。軽い運動や趣味などストレスを溜めないようにし、規則正しい睡眠とバランスの良い食事で栄養を摂るなど、生活習慣を見直すのも良いでしょう。
早すぎても遅すぎてもダメ
ターンオーバーは少しでも早いほうがよいと思いがちですが、そうではありません。ターンオーバーは「正しい周期に整えてあげること」が大切です。早すぎても遅すぎても肌にとってはよくないのです。
ターンオーバーが早いと起きる肌トラブルには、どのようなものがあるでしょうか。
ターンオーバーが早いと、母細胞で生まれたあと、まだしっかり成長しきっていない未熟な細胞が表面に現れます。そんな未熟で弱い肌は正しい機能が働かず少しの刺激にも敏感に反応してしまいます。
ターンオーバーを早くしてしまう原因の1つは外からの刺激です。顔を手でこすったり、メイク落としや洗顔の際にゴシゴシと強く洗ったりするのもよくありません。スクラブやピーリングは肌の汚れや古い肌を落とせますが、使い方を誤ったり、肌質に合っていなかったりすると健康な肌細胞を剥がしてしまう可能性もあります。
また太陽光や乾燥はダメージを負った角質層だけでなく、必要な部分も剥がしてしまいターンオーバーを早めてしまうことがあります。
乾燥したお肌にうるおいを
ターンオーバーを整えるには肌にうるおいを与えることも大切です。乾燥していると肌のバリア機能が下がってしまい、太陽光など外からの刺激に敏感に反応して肌荒れにつながります。うるおいが足りないことでお肌にダメージが加わりやすくなり、ターンオーバーを乱してしまう可能性があるのです。ここでは乾燥してしまったお肌へのケア方法を見ていきましょう。
スキンケアのポイント
ターンオーバーを整えるためスキンケアのポイントはまず「刺激を減らす」ことです。クレンジングや洗顔時にメイクや汚れを落とすためにゴシゴシこすってしまうと色素沈着の原因となります。濃厚な泡をたっぷりつくり、泡を顔全体に広げて転がすように洗います。すすぎは32~34℃のぬるま湯で丁寧に洗い落としましょう。
美容液や化粧水は栄養とうるおいをお肌に与えます。化粧水を効果的につけるにはコットンを使うとむらなくつけられて、うるおいを均一に与えることができます。なじませたら手で顔全体を包むようにして、肌表面の温度をあげると浸透しやすくなるでしょう。
乳液は肌をふっくら柔らかくするだけではなく、あとに塗るクリームをなじみやすくして、うるおい効果を高める役割もあります。さらにクリームは肌に蓋をして乾燥から守ります。ベタつきが苦手という方も多いですが、美容成分が蒸発するのを防いでくれます。
スキンケアは適切な量と回数を守ることが大切です。少なすぎはもちろん、過剰なスキンケアもかえってトラブルを引き起こしてしまいますよ。
お肌に働きかける有効成分とは?
スキンケアをするならお肌によいアイテムを使いたいですよね。お肌にうるおいを与えてくれる成分を見てみましょう。
・セラミド
肌の角質層にあるうるおい成分で、細胞の間にある水分を閉じ込める役割があります。肌のバリア機能にも重要で、セラミドが働くことで外からの刺激や乾燥を防ぐことができます。
・ヒアルロン酸
微生物発酵、精製より得られるムコ多糖類の一種で、優れた吸湿性、保湿効果を示します。
・植物性スクワラン
肌へのなじみのよい油性原料で、のびが良く、べたつきが少ないため、感触の改良にも使われます。
・AMP(アデノシン一リン酸)
加齢によって衰えてしまった母細胞のエネルギー代謝を高めてシミ・そばかすを防いでくれる成分です。ターンオーバーを促進し、遅れてしまった周期を正常な周期に戻すサポートをしてくれます。
まとめ
ターンオーバーは肌を美しく健康に保つためには欠かすことができません。肌のターンオーバーは適正であることが重要。早すぎても、遅すぎても肌トラブルの原因となってしまいます。適切なスキンケアや生活習慣を見直すことでターンオーバーを整えてあげましょう。
肌を守りターンオーバーを促すためには「うるおい」も大切。肌に刺激を与えずにやさしくスキンケアをしてあげるのがポイントです。保湿効果を高める有効成分や、母細胞を活性化させるような成分を含んだケア用品を選ぶのもよいでしょう。
大津スキンケア研究所 所長
1992年大塚製薬入社
健粧品の基礎試験、有効性評価を担当し、2011年から大津スキンケア研究所所長。