スキンケア
公開日：2022.06.03
更新日：2023.08.09
肌のターンオーバーを促進させるポイントとは？スキンケアや生活習慣を見直そう
健やかで美しい肌を手に入れるためには、ターンオーバーを整えることが大切です。ターンオーバーの遅れはさまざまな肌悩みの原因になるため、「ターンオーバーを促進させるケア」に取り組みましょう。肌のターンオーバーを促進させるためのポイントを、スキンケアと生活習慣に分けて紹介します。
肌のターンオーバーとは
美肌づくりには、正常なターンオーバーが欠かせません。まずは、肌のターンオーバーのしくみやターンオーバーが遅れる原因、ターンオーバーの乱れによって起こる肌悩みを理解しましょう。
肌のターンオーバーのしくみ
ターンオーバーとは、肌の細胞が生まれ変わる周期のこと。肌は外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層でできています。
ターンオーバーによって表皮の奥にある母細胞から生まれた細胞が、少しずつ成長しながら上へ上がり、最後は垢となって剥がれ落ちます。
ターンオーバーは繰り返され、常に新しい細胞と入れ替わっています。健康な肌であればターンオーバーは約30日*といわれていますが、加齢やさまざまな要因で遅くなったり早くなったりして、周期が乱れてしまうことがあります。
肌のターンオーバーが遅れる原因
ターンオーバーは加齢とともに遅くなっていきます。歳を重ねると新しい細胞を生み出す母細胞の力が弱まり、古い細胞が残り続けるからです。また、ストレスや睡眠不足も肌のターンオーバーにとって悪影響。ストレスや睡眠不足は成長ホルモンの分泌を乱し、肌のバリア機能を低下させてしまいます。
ターンオーバーの遅れによって起こる肌悩み
加齢などが原因でターンオーバーが遅れると、シミ、くすみ、乾燥、シワなどといった形で肌に現れます。
ターンオーバーの遅れにより起こるこれらの肌悩みは、古い細胞の蓄積が原因。ターンオーバーが遅れると肌のバリア機能が弱まるだけではなく、古い角質とともにメラニンが溜まって色素沈着が起き、シミやくすみ、ニキビ跡の原因となってしまいます。
【スキンケア】肌のターンオーバーを促進させるポイント
肌のターンオーバーを促進させるために、ポイントを押さえた丁寧なスキンケアを意識しましょう。また肌にうるおいを与える保湿成分や、シミ・そばかすを防ぐ美白成分が配合されているスキンケアを選ぶことも大切です。
スキンケアのポイントを押さえる
ターンオーバーを整えるためのスキンケアのポイントは、まず「刺激を減らす」ことです。クレンジングや洗顔時にメイクや汚れを落とそうとゴシゴシこすると、色素沈着の原因になります。濃厚な泡をたっぷりつくり、泡を顔全体に広げて転がすように洗います。すすぎは32～34℃のぬるま湯で丁寧に洗い落としましょう。
洗顔後は、美容液や化粧水で栄養とうるおいを肌に与えます。化粧水を効果的につけるにはコットンを使うのがおすすめ。むらなくつけられて、うるおいを均一に与えることができます。なじませたら手で顔全体を包むようにして、肌表面の温度を上げると浸透しやすくなるでしょう。
乳液は肌をふっくらとやわらかくするだけではなく、あとに塗るクリームをなじみやすくして、うるおい効果を高める役割もあります。
クリームは蓋の役割を担い、乾燥から肌を守ります。ベタつきが苦手という人も多いですが、美容成分が蒸発するのを防いでくれるため、意識して取り入れたいアイテムです。
保湿・美白成分配合のスキンケアアイテムを取り入れる
スキンケアアイテムを選ぶ際は、保湿成分や美白成分に着目してみましょう。
健やかな肌のために保湿は欠かせません。肌の乾燥によりバリア機能が低下すると、太陽光などの外からの刺激に敏感に反応して肌荒れにつながります。うるおいが足りないと肌にダメージが加わりやすくなり、ターンオーバーが乱れてしまいます。
| 主な保湿成分 |
|
| セラミド |
肌の角質層にあるうるおい成分。細胞の間にある水分を閉じ込める役割があります。肌のバリア機能維持にも重要で、セラミドが働くことで外からの刺激や乾燥を防ぐことができます。 |
| ヒアルロン酸 |
微生物発酵、精製により得られるムコ多糖類の一種で、優れた吸湿性、保湿効果を示します。 |
| 植物性スクワラン |
肌へのなじみが良い油性原料で、のびが良く、べたつきが少ないため、感触の改良にも使われます。 |
また、ターンオーバーの乱れによって起こるシミやくすみが気になる場合は、美白成分配合のスキンケアアイテムがおすすめです。美白化粧品にはメラニンの生成や蓄積をおさえてシミやそばかすを防ぐ成分が含まれています。
| 主な美白成分 |
|
| ビタミンC誘導体 |
ビタミンCはメラニンの生成をおさえるだけではなく、肌、血管、じん帯、腱などのもとになるコラーゲンを生成するのにも必要です。ビタミンC誘導体は、より肌から取り入れやすくした成分です。 |
| トラネキサム酸 |
かぜ薬にも含まれ炎症をおさえるトラネキサム酸には、メラノサイトの活性化をおさえる働きがあります。ビタミンCとの組み合わせも効果的です。 |
| アデノシン一リン酸二ナトリウムOT |
「エナジーシグナルAMP」とも呼ばれ、肌の母細胞のエネルギー代謝を活性化します。さらに、母細胞の活性化によりターンオーバーを促すことでメラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぎます。 |
大塚製薬の「インナーシグナル」は、独自の有効成分「エナジーシグナルAMP*」を配合したスキンケア。表皮をフレッシュな細胞で満たし、うるおいとハリのある肌へと導きます。
*アデノシン一リン酸二ナトリウム OT／メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
【生活習慣】肌のターンオーバーを促進させるポイント
丁寧なスキンケアに加え、整った食事・運動・睡眠なども、肌のターンオーバーを促すために重要です。ターンオーバーを促進させる生活習慣のポイントを紹介します。
ターンオーバーを促進する食べ物をとる
肌をつくり出すにも材料が必要。栄養バランスの良い食事は肌のターンオーバーを促進するだけではなく、体の調子も整えて健康の維持にプラスとなります。たくさんの食べ物の中でも肌に関係する栄養を意識してとるようにしましょう。
| 栄養素 |
はたらき |
含まれる食材 |
| タンパク質 |
すべての動物の細胞を構成する主要な成分。肌はもちろん、頭髪や臓器などを作る材料にもなる。 |
豆、卵、肉、魚 など |
| ビタミンＣ |
抗酸化作用があり、身体の治癒に必要なコラーゲンの生成にも使われる。 |
柑橘類、ブロッコリー、ピーマン、じゃがいも、イチゴ など |
| 亜鉛 |
タンパク質を作り肌や粘膜の健康維持を助ける。 |
牡蠣、牛肩肉、カニ、カシューナッツ など |
軽い運動で血流を促す
運動をすると体の新陳代謝が高まるため、肌への美容効果が期待でき、心のリフレッシュにもつながります。運動といっても筋トレや球技などさまざまですが、肌のターンオーバーを促進するためには、有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動とは、ウォーキング、サイクリング、ハイキング、水泳など筋肉を長時間収縮させて酸素を使う運動です。有酸素運動は心肺機能と免疫力を高め、血行を促します。体の隅々まで栄養や酸素が行き渡りやすくなるため、肌のターンオーバーも促進されます。
質の良い睡眠をとる
睡眠不足は、ターンオーバーを促すとされる成長ホルモンの分泌や自律神経のバランスに大きな影響を与えます。成長ホルモンは、深い眠りであるノンレム睡眠に合わせて分泌されると言われています。ノンレム睡眠は入眠3時間の間に訪れ、成長ホルモンが分泌されるので、この間にしっかり深く眠ることが大切です。
しかし、ストレスや不規則な生活によってノンレム睡眠が乱されてしまうことがあります。軽い運動や入浴で体を温めたり、ゆっくりと音楽を聴いてリラックスしたりすると、質の良い眠りにつながります。また、スマートフォンやパソコンなどから発せられるブルーライトを浴びると目を覚ましてしまうことがあるので、寝る直前は使用を控えましょう。
その他、質の良い睡眠のためには朝の習慣も重要です。目が覚めたらまずはカーテンを開け、朝日を浴びて体内時計を整えましょう。加えてしっかりと朝食をとることで、体の臓器にも朝が来たことを伝えられます。たんぱく質の多い朝食には体内リズムを整える効果があると言われているので、意識して取り入れてみてください。
お酒やタバコは控えめにする
お酒が眠りを浅くしてしまうことはよく知られていますが、栄養の吸収にも影響します。「食前酒」が用意されることがあるのは、アルコールには消化酵素の分泌を増やし、胃の血行を良くして消化を助け、食欲を高める効果があるからです。しかし、適量を超えると胃や腸の機能を落としてしまいます。
また、タバコの煙は体内に活性酸素やフリーラジカルを過剰につくり、さまざまな細胞にダメージを与え、機能不全から病気やエイジングの原因となります。喫煙者だけではなく受動喫煙者にも悪影響があるとされているので注意が必要です。
喫煙による損傷の修復に使用されるのは、コラーゲンの生成にも使われるビタミンC。ビタミンＣの不足は、ターンオーバーを遅らせる原因になります。
まとめ
ターンオーバーは、健やかで美しい肌を保つためのしくみです。ターンオーバーの遅れはシミやくすみ、乾燥といった肌悩みの原因になるため、ターンオーバーを促進させるケアを意識しましょう。しっかりとスキンケアに取り組むのはもちろん、食事、運動、睡眠など体の内側からケアすることも大切です。身体と心のケアにもなる肌のケアは、日々の生活も楽しいものにしてくれるでしょう。
大津スキンケア研究所 所長
1992年大塚製薬入社
健粧品の基礎試験、有効性評価を担当し、2011年から大津スキンケア研究所所長。