スキンケア
公開日:2023.07.31
更新日:2023.08.09
医薬部外品と化粧品の違いとは? スキンケア選びに役立つ違いをわかりやすく解説
肌のお手入れに使用するスキンケア製品は、医薬部外品または化粧品に分類されています。これらは含まれる成分や目的とする効果が異なるため、それぞれの違いを知っておくと、今後のスキンケア選びの際に役立つでしょう。 医薬部外品と化粧品の違いや、スキンケア選びのコツについて紹介します。
化粧品・医薬部外品・医薬品の概要
化粧品や医薬部外品・医薬品は、配合成分や期待する目的によって分類されています。一見その違いはわかりにくいですが、表記できる成分などが異なるため、一度理解しておくと製品選びの際に便利です。まずは、化粧品や医薬部外品、医薬品の違いについて解説します。
化粧品とは
化粧品、医薬部外品、医薬品などの違いについては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法・薬機法)」と呼ばれる法律によって定められています。
化粧品や医薬部外品などについて詳細が記載されている「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、この法律における化粧品の定義は以下のように紹介されています。
”「化粧品」とは人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう”
<出典>化粧品等の適正広告ガイドライン
具体的にはスキンケア用品やメイクアップ用品、歯磨き粉など、身体を美しくしたり清潔にしたりするもので、人体への影響が穏やかなもののこと。ただし有効成分が配合されている薬用化粧品は、医薬部外品に該当します。
また化粧品は、製品に使用している成分を、すべてパッケージに記載するよう定められています。
医薬部外品とは
「化粧品等の適正広告ガイドライン」によると、医薬部外品の定義は以下のように記載されています。
”「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほか に、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。) であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の 防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第 三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を 除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの”
<出典>化粧品等の適正広告ガイドライン
医薬部外品の具体的な例としては、薬用美白美容液、薬用化粧水、薬用クリーム、薬用シャンプーなどの薬用化粧品や虫よけスプレー、生理用ナプキンなどが挙げられます。
医薬品とは
医薬品は医師からの処方薬や鎮痛剤・風邪薬など、病気の治療や予防などを目的として使用されるものを指します。人体に影響を及ぼすことを目的としており、購入するためには医師の処方箋や、薬剤師や登録販売者からの説明などが必要です。「化粧品等の適正広告ガイドライン」の中で、医薬品については以下のように記載されています。
”「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物で あつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わ されたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。) でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつ て、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)”
<出典>化粧品等の適正広告ガイドライン
医薬部外品と化粧品の主な違い
先述した医薬部外品と化粧品について、主に3つの大きな違いがあります。普段何気なく使用している製品が、医薬部外品と化粧品のどちらに該当するのかチェックしてみてください。
①有効成分の有無
医薬部外品と化粧品の大きな違いは、製品中に含まれる有効成分の有無です。例えば医薬部外品は人の体に対して、穏やかながらも、人の衛生や予防を目的として厚生労働省に認められた有効成分が一定濃度配合されています。
これに対して厚生労働省に認められた有効成分は含まれず、人を美しく魅せたり、魅力を増したりといった目的で作られているのが化粧品です。
②成分の表示義務
医薬部外品と化粧品では、成分の表示方法も異なります。
分類 |
成分の表示義務 |
医薬部外品 |
有効成分を表示する |
化粧品 |
製品に含まれている成分をすべて表示する |
また化粧品の成分表示は、配合されている量が多い順で表示することも定められています。しかし配合量が1%以下の成分については順不同です。
③表示できる効能・効果
医薬部外品と化粧品は、その製品の効能・効果の記載方法においても、薬機法によって定められています。例えば厚生労働省に定められた有効成分を含む医薬部外品は、化粧品に比べてより具体的に効能・効果を記載できます。
【表記例】
①シミ・そばかすを防ぐアイテムの場合
・医薬部外品(薬用化粧品)⇒メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ /メラニンの蓄積をおさえ、シミ・そばかすを防ぐ
・化粧品(日やけ止め剤)⇒日やけによるシミ・そばかすを防ぐ
②シャンプー・リンスの場合:
・医薬部外品(薬用化粧品)⇒ふけ、かゆみを防ぐ
・化粧品⇒フケ、カユミがとれる、抑える など
スキンケア選びのコツ
一般的に販売されているスキンケア製品には、医薬部外品に分類される薬用化粧品も含まれます。スキンケア製品を選ぶ際は、自分が目指したい効能・効果を含むものや、肌に合うものを選ぶと良いでしょう。最後にスキンケア選びのコツを紹介します。
目的とする効果が記載されているものを選ぶ
健やかな肌を目指すために、自分が得たい効果を表示しているスキンケアアイテムを選びましょう。例えば、美白や保湿、シワ改善など。 医薬部外品の薬用化粧品であれば、承認された有効成分を含むため、よりその効果を期待できるでしょう。
大塚製薬の「インナーシグナル」は、独自の薬用美白有効成分「エナジーシグナルAMP*」を配合したスキンケアシリーズ 。美白**分野で初めて「メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ」という医薬部外品の効能効果を、2004年10月に取得しています。
*アデノシン一リン酸二ナトリウム OT/メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ **メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
自分の肌に合うものを選ぶ
スキンケア製品は、自分の肌質に合ったものを使用しましょう。
さまざまな刺激に肌が反応しやすい敏感肌の人などは、含まれる成分によって、肌が赤くなったりかゆみが出たりして、肌荒れが起きてしまう場合があります。 そのような人には、肌への負担が少なくやさしい成分が配合されたスキンケア用品を選ぶのがおすすめです。
また季節などによっても人の肌質は変化するため、時期や肌の状態に応じて、スキンケア製品を変えるのも良いでしょう。
まとめ
医薬部外品(薬用化粧品)と化粧品は、どちらも似たような用法・形状であったとしても、含まれる成分が異なります。効能効果が認められた有効成分が含まれている医薬部外品の薬用化粧品は、成分名とともに効能や効果が表記されているため、自分の目的に合わせて選びやすいでしょう。スキンケア製品を選ぶ際は、医薬部外品と化粧品の違いについても注目してみてください。
大津スキンケア研究所 所長
1992年大塚製薬入社
健粧品の基礎試験、有効性評価を担当し、2011年から大津スキンケア研究所所長。