スキンケア
公開日:2023.05.30
更新日:2024.11.20
肌の水分量を上げる方法|スキンケアや生活習慣の見直しでうるおいのある肌へ
水分量が十分な肌にはうるおいやハリ・ツヤがあり、キメが整っています。肌の水分量の低下は乾燥につながり、肌あれやキメの乱れなどさまざまな肌悩みにつながるため、水分量を上げるケアに取り組みましょう。肌の水分量が低下する原因や、水分量を上げるスキンケア・生活習慣を紹介します。
健やかな肌の水分量は?
肌のうるおいに大きくかかわっているのが、肌の水分量です。健やかな肌は、表皮の上の角質層に10〜20%、さらに内部の表皮や真皮に60〜70%の水分量を含んでいます。
角質層には、肌自身がつくり出す保湿成分(NMF)や脂質などがバランス良く存在し、自らうるおいを保っています。しかし角質層の水分量が10パーセント以下になると、肌にうるおいがなくなり柔軟性も失われてしまいます。
肌の水分量の低下が肌悩みにつながる
自らうるおいを保つ働きがある角質層。しかし、肌細胞が生まれ変わる周期であるターンオーバーの遅れなどが原因で角質層の水分量や油分量が減少すると、肌の乾燥が進んでしまうことも。それにより、肌を守るバリア機能が低下してしまいます。
肌のバリア機能の働きは、外からの異物侵入や肌の水分蒸散を防ぐことです。バリア機能が低下すると、外的刺激や水分の蒸散を防げなくなるため、さまざまな肌悩みにつながります。バリア機能の低下はうるおいを保つ力の低下も招き、乾燥により肌表面のキメが乱れ、肌荒れの原因となってしまいます。
肌の水分量が低下する原因
乾燥、摩擦、太陽光のダメージなど、正常なバリア機能を壊し、肌の水分量を低下させる原因を解説します。
乾燥
肌の乾燥により皮脂や汗の分泌量が減ると、肌を守る皮脂膜がつくられにくい状態になります。それにより肌から水分が蒸発しやすくなり、肌の乾燥がさらに進行してバリア機能が低下。水分量も低下します。
特に気温・湿度が低い冬は、皮脂や汗の分泌が減り、皮脂膜がつくられにくくなります。また冷暖房により、肌の水分が奪われる可能性もあるため注意が必要です。必要以上に洗浄力が高すぎるクレンジングや洗顔の使用も乾燥の原因となります。
肌のターンオーバーの乱れ
ターンオーバーが乱れると、角層の水分量や油分量が減少します。これにより、バリア機能が低下し、肌の水分量も低下します。
ターンオーバーとは、母細胞から生まれた新しい細胞が押し上げられ、古い細胞がはがれ落ちるまでの周期のこと。健康的な肌のターンオーバーの周期は約30日*です。ターンオーバーの過程では、肌自らがつくり出す保湿因子(NMF)やセラミドなどの細胞間脂質が生成されます。基底層で生まれた細胞が、顆粒細胞から角質細胞へ移行する段階で放出され、細胞間脂質になります。
角層は細胞間脂質がバランス良く存在することでうるおいを保っていますが、ターンオーバーが乱れるとNMFやセラミドが減少し、肌のバリア機能も低下。肌本来の保湿力が弱まり、水分量も低下します。
太陽光によるダメージ
長期間太陽光を浴び続けることは肌へのダメージになり、ターンオーバーが遅れます。それにより古い角質が肌表面に留まり、肌のバリア機能が正常に働かなくなるため、肌の水分量が低下します。
近年では、太陽光に含まれる紫外線だけではなく、近赤外線も肌に影響を与えることがわかってきました。
摩擦
洗顔やクレンジングなどの際に、肌をゴシゴシと強くこすって肌を摩擦すると角層に傷がつき、バリア機能が低下。肌の水分量低下を招きます。バリア機能を保持する重要な役割を担っている角層ですが、約0.02ミリメートルほどの厚さしかないので、丁寧に触れることを意識しましょう。
加齢
加齢も肌の水分量が低下する原因の1つです。加齢により皮脂の分泌作用や新陳代謝が低下し、肌のバリア機能も低下します。皮脂の分泌量は思春期後半から20代後半が最も多く、その後年齢とともに少なくなります。
【スキンケア】肌の水分量を上げる方法
肌の水分量を上げるには、肌にやさしい洗顔や水分・油分を補給するスキンケアを意識することが大切です。普段から、ポイントや注意点を押さえたスキンケアに取り組み、肌の水分量を増やしましょう。
肌をやさしく洗う
洗顔時は、肌に負担をかけないようやさしく洗うことが大切。洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料の使用、ピーリングなどの角質ケアのやりすぎは、肌への負担になるため注意しましょう。
<洗い方の手順>
- 顔全体を軽く濡らす。
- 泡を顔全体に広げ、泡を手でころがすように洗う。
- 32〜34度のぬるま湯でしっかりとすすぐ。
化粧水で水分を補う
保湿成分を含む化粧水を使い、肌に水分をしっかりと補いましょう。代表的な保湿成分は次の通りです。
保湿成分 |
役割 |
セラミド |
肌の角質層のすき間を埋めている細胞間脂質の主成分。角質層の水分を保持する役割がある。 |
ヒアルロン酸 |
肌になじみが良く、水分保持効果が高い成分。水との親和性が高く、細胞間や組織間を埋める役割を担っている。 |
アミノ酸 |
角質層にある肌自身がつくり出す保湿成分(NMF)の構成要素の1つ。NMFには、水分を捕まえてはなさず、肌のうるおいを保つ役割がある。 |
化粧水をつける際は、コットンの使用がおすすめです。化粧水をムラなくつけられるため、うるおいを均一に与えやすくなります。特に目や鼻、口の周りのへこんだ部分にコットンを使うと効果的です。
乳液やクリームで油分を補う
化粧水で水分を与えた後は、乳液やクリームの油分で保護膜をつくり、水分を逃さないようにしましょう。水分と油分がバランス良く含まれている乳液を使うとクリームの伸びが良くなります。さらにクリームを塗ると油分でうるおいを覆い、美容成分を閉じ込めることができます。
ターンオーバーを促す成分配合のスキンケアを取り入れる
保湿に加え、ターンオーバーを整えることも肌のバリア機能を正常に保ち、水分量を保持するのに有効です。日々のスキンケアに、ターンオーバーを促す成分が配合された美容液などのアイテムを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【生活習慣】肌の水分量を上げる方法
生活習慣の見直しを意識するなど、体の内側から改善していくことも水分量を上げる方法です。また、生活習慣の見直し・改善は他の肌悩みの予防にもつながります。太陽光対策や十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事などを意識しましょう。
水分をこまめに摂取する
体内に水分を維持することは、肌のうるおいやみずみずしさを保つことと大きく関係しています。人間の体は体重の約60パーセントの水分量を保持しており、体全体の水分量の変化に伴い肌の水分量も変化します。
一般的に食事で摂取する水分量が約1リットル、代謝水が約0.3リットルといわれていますが、普通に生活しているだけでも、尿や汗などにより1日当たり2.5リットルもの水分が失われます。そのため、1日約1.2リットルの水分摂取を心がけましょう。一度で多く摂取するのではなく、コップ1杯程度の水をこまめにとることが効果的です。
太陽光対策を徹底する
先述したように、太陽光を浴びることで起きる炎症により肌がダメージを受けると、ターンオーバーが乱れ、バリア機能が低下します。
太陽光は季節や天候を問わず降り注いでおり、波長の長い紫外線は窓ガラスも通過します。そのため室内外を問わず、日やけ止めや日やけ止め下地を使って対策しましょう。外出する際は、日傘・帽子・長袖の服・サングラスなどを併用するのも効果的です。
十分な睡眠をとりストレスを溜めない
肌のターンオーバーを促す成長ホルモンは、眠りが深いノンレム睡眠時に分泌されます。しかし、不規則な生活やストレスが溜まることにより、深い眠りにつきにくくなってしまうことも。しっかりと睡眠をとるために、次のことを心がけましょう。
- 朝起きてすぐ朝日を浴びる。
- 朝食をとる。
- 適度な運動をする。
- 夜更かしをせず一定の時間に起床する。
ストレスもターンオーバーを乱す原因の1つです。運動や趣味の時間をとるなど、ストレスを溜めない工夫も意識しましょう。
栄養バランスの良い食事を心がける
うるおいのある美肌を目指すためには、タンパク質、ビタミン類、ミネラルなど栄養バランスのとれた食事を心がけることも大切です。次のような栄養素を積極的に摂取しましょう。
栄養素 |
効果 |
食材 |
タンパク質 |
筋肉・皮膚・内臓・骨などをつくる |
マグロ赤身、鶏ささみ、豆腐、卵、牛乳 など |
ビタミンA |
目や皮膚の粘膜維持 |
レバー、ウナギ、ニンジン、ほうれん草、モロヘイヤ など |
ビタミンB2 |
皮膚の細胞の再生を助ける |
肉の肝臓全般、ウナギ、卵、納豆 など |
ビタミンB6 |
皮膚の抵抗力増進 |
赤身肉、鶏肉、マグロ、牛レバー、カツオ など |
ビタミンC |
コラーゲンの生成に必要 |
レモン、オレンジ、パプリカ、いちご、ブロッコリー など |
亜鉛 |
タンパク質の合成に必要 |
牛赤身肉、牡蠣、卵、カシューナッツ、油揚げ など |
※ただし、過剰摂取は副作用を引き起こす可能性があります。栄養が偏らないよう注意しましょう。
まとめ
肌の水分量が足りているかどうかは、肌のうるおいやハリに大きく影響します。保湿成分が配合されたスキンケアアイテムで水分と油分をしっかりと補給するなど、肌の水分量を上げるケアを取り入れましょう。また、太陽光対策を行う、十分な睡眠や栄養バランスの良い食事をとるなど、生活習慣も見直して、うるおいとハリのある美肌を目指してください。
大塚製薬の「インナーシグナル」は、肌にハリとうるおいを与える保湿成分を配合したスキンケア用品。毎日のスキンケアによって、キメの整った肌へと導きます。また有効成分「エナジーシグナルAMP*」配合により、ターンオーバーを促しメラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぎます。
*アデノシン一リン酸二ナトリウム OT/メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
大津スキンケア研究所 所長
1992年大塚製薬入社
健粧品の基礎試験、有効性評価を担当し、2011年から大津スキンケア研究所所長。